【フラメンコの楽しいトリセツ】第一弾 by 浜田吾愛(La CAPI)
こんにちは。THE FLAMENCO TSUNAGUプロジェクト ブログ管理人のHIROです。
さあ、いよいよ始まります! 音楽評論家でもありフラメンコのカンテを自分のものにして歌い上げてしまうアーティスト浜田吾愛(わかな)さんの「フラメンコの楽しいトリセツ」連載第1弾です。
吾愛さんはおばあちゃんの知恵袋のように色々スペインの音楽史のことをご存知で(大学の先生におばあちゃんの知恵袋はなんと失礼な・・)、グラナダ25年在住の我が座長亜哉子も知らない唄にめぐり合うと吾愛さんに教えをこうほど。スペインの歴史もわかるし、フラメンコあんまり知らない~という方にも楽しい読み物です!
【フラメンコの楽しいトリセツ】浜田吾愛(La CAPI)著
自分の身体だけを使って、人間はどんなことができるだろう。
何かを表現しようとするとき、人はたとえば手を叩き、足を打ち鳴らす。
もっと激しく気持ちを伝えたければ、身体全体を揺らしもするだろう。
あるいは、心のうちを言葉に乗せて、思いの丈をその喉から絞り出すだろう。
そこには、国境も人種も関係ない。
それが日本においては追分節やよされ、瞽女唄、アメリカならゴスペルやブルース、そしてスペインではフラメンコと呼ばれるものになった、というお話だ。
それらの唄や踊りには、身ひとつで生きることを余儀なくされた人々の、心の叫びが詰まっているのだ。
少しだけ歴史の勉強をしよう。
かつて約800年にわたって、ヨーロッパ大陸最南端イベリア半島の支配者となったイスラム民族は、15世紀の末、キリスト教徒との戦いに破れて半島を追われる。
まるで入れ替わるようにこの地にやってきたのが、ロマ族つまりスペイン語でヒターノとよばれる流浪の民だ。
スペインと名付けられた新しい王国で、ヒターノたちは自らの居場所を探し始める。
しかし、時の王様は簡単には彼らを認めない。
いわく「定職につけ」「定住せよ」「キリスト教徒になれ」……
どうです、21世紀日本のニート社会みたいでしょ。
それでもヒターノたちは、苦労しながら頑張った。彼らの強みは、その土地の踊りや音楽に自分たちの味付けを施す才能。
彼らがたどり着いたイベリア半島はまさに素材の宝庫だった。持たざる民の彼らにも、運がめぐってきた。
貴族の館などで彼らが披露する飾らないむき出しの芸は、いつしか評判を呼ぶ。
しかし身分のない彼らに回ってくるのは、いわゆる3K、4Kの仕事。
汗にまみれて働きながら、彼らはそこから唄を、踊りを生み出した。楽器がなくても、天性のリズム感が、彼らの武器。
“トナー”、鍛冶屋の調べ “マルティネーテ”、耕し唄 “カンテ・デ・トリージャ"、子守唄 “ナナ”、物語歌 “ロマンセ”……鍛冶場や畑の片隅で生み出された無伴奏の労働歌が、フラメンコの最初期のレパートリーとなった。[W]
ギターなしのフラメンコの唄(カンテ)源流といわれるフラメンコの例
座長亜哉子が初めてみたとき歌詞の内容もわからずに胸を射抜かれた伴奏なしのフラメンコの1曲 トナーではありませんが伴奏なしのCarcelerasという唄で誰でも歌えるものではないと言われている唄 Carcel=牢獄から派生した名前です
https://m.youtube.com/watch?v=p2QvjrRZG44
マルティネーテ
座長亜哉子が大好きなマルティネーテの1つの映像です
https://m.youtube.com/watch?v=74U3ggKtYfA
いかがでしたか? 映像も面白いし興味深いので、ぜひ音が出せる環境でお試しください! 歴史と文化は深く関係しているんだなとつくづく納得。
次回の【フラメンコの楽しいトリセツ】お楽しみに!
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